うきうき日記

本命 今井翼と西川貴教と堂本光一なゆきこがタキツバと今井翼関連しばりで書いている繰り言の垂れ流し

物語を持っている強さについて。なぜかゲスのかっこよさについて。

つまりは滝ちゃん歌い続けたらいいのにもったいないという話。

TMRのSalvage(アルバム「天」収録)という曲に、歌詞じゃなくて語りがあって、歌詞カードに載っていないし明確に聞き取れる訳じゃないぼそぼそ呟いてるセリフに、
「僕は君以外失っていない」
ってある。
そうすると、まぁ20年選手のファンであれば、ほぼ確実に、固有名詞がひとつ脳裏に浮かぶ訳ですよ。
それって、超強いと思う。
謡曲を短いドラマと表現するとき、3分や4分だけで世界観を構築するのは大変だ。
そのとき、歌い手固有の物語があれば奥行きが違う。
例えハッピーな曲であっても、苦味が少しあることでより甘さが引き立つように、確実に味わいが濃くなる。
そういう自前の物語を誰もが持てるわけじゃない。

ということを、私は2016年イナズマロックフェスで見たゲスの極み乙女に対して思った。
ファンだと、いろいろ引っくるめて好きだから、どこに引っ掛かって好きなのか判然としないとこがある。
そのとき、台風前兆の雨、曇天、満点の舞台効果で現れた、スカートはいた「女のような男」という表現が非常にマッチするゲスの川谷くんの震えるほどのかっこよさは、間違いなく「ベッキーを破滅させた男」というビッグな物語を背負ったそれだった。
舞台に登場しただけで空間が歪んだような気がした。
なよなよした男があからさま高度に技巧的なキーボードを弾きすかした顔で歌う。
私は貴教とかポルノみたいな(そんで調子いいときの光一さんとか)、高音で口パカーッとあけて気持ち良さそうに声出しとるなーって歌い方が好き。
川谷くんの歌ってるのか喋ってるのかみたいな声は趣味ではないのだ。
しかしその空間において、ほんと震えるようにかっこよかった。
アルバム2枚買ったけどやっぱり大して趣味ではなくて、でもライブ行けるなら行きたいな。
ゲスの極み乙女ってバンド名もこの物語とマッチして秀逸だと思う。
マジでゲスだな、って言い回しが人口に膾炙した時点で川谷くんの勝ちだし、そこに「乙女」と付くことで、うわっタチ悪!扱いづら!と印象を添える。

ちなみにこのベッキーと川谷くんのビッグな物語、私はタキツバ大阪城ホールから帰りの電車で、暇潰しは本を持ち歩くタイプなんですが、多幸感に包まれ過ぎて本なんか読めないなって状態で携帯でネット見て知ったのが最初なんですが、
このハッピーにおつむ沸いてるときに縁起でもないと思ったのを覚えている。
ベッキーと不倫って言葉が似合わなすぎて、事務所が仕掛けたイメチェン戦略かと疑った。
これ、ベキ子さんについては完全に高すぎる有名税だと思ってます。
だってさー、言葉の並びとして強力すぎるもん。
思わず口に出したくなるよね。
で、口に出すならとりあえず非難しといたらいっかってなる、だけじゃね?
単語を書いた紙をランダムにひいて文章を作る遊び。
あれ並みにあり得ない単語の組合せだったもん。
それが現実って言われたら、ちょっと口に乗せたくなるよ。
その単語の組合せだけで、2~3年後に湯煙旅情殺人事件みたいな二時間ドラマで、若くて美人で明るく気さくなのに場末で小料理屋やってる女将(訳有りなんだな)って絵が浮かんだもんな。

んで、そういう強力な物語って、そうそう自前で作れるものじゃないわけで、で、私に言わせると、滝ちゃんはまさに今それを持った訳じゃないですか。
滝ちゃんが
「僕は君以外失っていない」
と言ったら、もうそれ以外入り得ない強烈な固有名詞を、痛切に失ったひとつの名を、誰もが脳裏に描ける。
すっっっっごいアドバンテージ。
その物語をみすみすお蔵入りさせちゃうなんて、舞台人としてもったいねー!!と思う。
この数日間、このワンフレーズを脳内で転がしていたんですが、今井さんだったら今井さんの方でまたいいんですけどね。
今井さんって私、ご本人の自称と裏腹にクールってイメージで、今井さんがこのフレーズを語れば冷徹に聞こえるなと思う。
実は傷ついてやしないっていうね。
それが私の思う今井翼の物語。
滝ちゃんは傷口開いたまま蓋をしたような。

翼が隣にいないなら表舞台に未練はないと引退を決意した滝沢秀明の物語を、私もおおむね採用している訳ですが、
(もともと裏に引っ込みたい気質が強い人だったという前提で、大きくはあったけどきっかけに過ぎないという前提で)
破局説それもただの破局じゃなく外面を取り繕う余裕さえなかった完膚なきまでの破局、と思っている私が描くこの物語は、
ふたりの仲は揺るがずなんなら家に帰ったら翼がごはん作って待ってる説の人が描く「翼がいない表舞台に未練はない」物語と、そうとうな乖離があるという当然のことに、最近気付いた。←遅い